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鍼灸治療の分類① ―どんな治療法や流派があるの?―

「鍼灸治療はどこで受けても同じ」だと思われていますが、実は鍼灸治療にもいろいろな治療法や流派があります。ここでは、どんなタイプの治療法や流派があるのか、全体像を説明します。

鍼灸の治療法や流派の分類

鍼灸の治療法や流派を大まかに分類すると、まず「現代医学派」と「東洋医学派」の2つに分けられます。そして、その中で、細かく治療法や流派が分かれていきます(特に東洋医学派)。
 
(治療法や流派、これだけあるよの分類イラスト)
 
鍼灸治療というと、「東洋医学」のイメージが強いですが、鍼灸師の全員が東洋医学をベースに治療を行っているわけではありません。なぜなら、鍼灸師の間でも、「東洋医学ってなんだかうさんくさい」とか「東洋医学で本当に体が治るのか」と思われがちだからです。
したがって、東洋医学を使わない「現代医学派」と東洋医学を使う「東洋医学派」にまず分かれます。現代医学派と東洋医学派の比率は6:4くらいのようです。

現代医学派と東洋医学派では対応できる症状が違う

ふつう鍼灸治療では、筋肉・関節・神経系の症状に対して治療を行います。これは現代医学派でも東洋医学派でも同じです。
ただし、東洋医学派では、それ以外にも、喘息、アトピー性皮膚炎、不妊症などいろいろな症状・疾患に対しても治療することが出来ます。
 
現代医学派で対応できるもの = 筋肉・関節・神経系の症状
東洋医学派で対応できるもの = 筋肉・関節・神経系の症状 +その他いろいろな症状・疾患

現代医学派は「安くて手軽」、東洋医学派は「少し高いけど質も高い」

じゃあ筋肉・関節・神経系の症状のときは、現代医学派か東洋医学派かどっちが良いのかということですが、どちらのタイプでも構いません。いろいろと違いがあるので、自分はどちらのタイプが良いのかをまず決めてもらうのが良いでしょう。
 
現代医学派   東洋医学派
安くて手軽、症状改善型 特徴 少し高いが質も高い、根本改善型
鍼灸整骨院に多い 受けられる場所 鍼灸院に多い
15~30分程度 治療時間 30分~1時間程度
手技や機械による治療がメイン。
鍼灸治療は補助的なもので、なかなか取れない痛みやひどい痛みの場合に使うことが多い。
治療内容 鍼灸治療がメイン。
補助的に手技や機械による治療をプラスするところも多い。
比較的安い
(数百円~2000円程度)
料金 少し高い
(4000~6000円前後)
  • 鍼灸以外にも手技や機械による治療をしてもらえる
メリット
  • 内臓からくる痛みの場合にも治療できる
  • 治療が終わっても定期的に通うことで再発しにくい体になれる
  • 内臓からくる症状だった場合に対応できないことが多い(ただしカイロなど深く学んでいる先生なら別。体表と内臓に関連があるのを分かっている先生なら対応できる)
デメリット
  • 食事や運動の指導が入ることが多いので、人によっては面倒に感じる(だからこそ根本改善を図れるのですが)
  • 先生の違いによる治療効果の差が大きい(知識・技術レベルの差が結果に反映されやすいから)
 
まだまだ違いがあるので、興味があればこちらもご覧ください。
→現代医学派の治療について
→東洋医学派の治療について

それぞれの治療法・流派での違い

現代医学派ではほとんど流派がありません。なぜなら、痛いところに鍼を打つというシンプルな方法が主流なので、そもそも流派が生まれにくいからです。

東洋医学派の流派での違いは、「どんな風に治療をしていくか」の違いです。たとえば、鍼を浅く打つのかしっかり刺すのか、何か所くらいに治療するのか、刺激がソフトなのか普通なのか、どの診断所見を特に重視するのか、といった細かな点に微妙な違いがあります。
 
しかし、東洋医学派では、一つの流派をきっちり踏襲するタイプの人は少ないです。どちらかといえば、一つの流派をベースに、治療の引き出しを増やしてオリジナルの治療スタイルを築いている人の方が圧倒的に多いです。
ただ、その人がどの流派のやり方をベースにしているかによって、治療スタイルに傾向はあります。
●現代医学派
ほとんどの
現代医学派
患部周辺に鍼を打つことがほとんど。
パルス鍼を使うことも多い。
鍼のタイプ:患部周辺に打つ
刺激タイプ:治療院による
主な診断法:触診、可動域検査など
治療家の数:ほとんどの現代医学派がこれ
トリガーポイント療法 筋肉や筋膜の損傷が原因で起こる痛みに特化した治療法。
ミリ単位の反応点を特定して治療するので、高い技術を要する。
鍼のタイプ:
刺激タイプ:
主な診断法:
治療家の数:
●東洋医学派の流派と治療法
ほとんどの
東洋医学派
ほとんど多くの鍼灸師が、いろんな流派のやり方を取り入れて自分なりの独自の治療スタイルを築いている。 鍼のタイプ:
刺激タイプ:
主な診断法:
治療家の数:
経絡治療 東洋医学派の流派で一番有名。 鍼のタイプ:接触鍼+数ヶ所打つ
刺激タイプ:ソフト系(深く鍼を打つ数が少ない)
主な診断法:脈診
治療家の数:普通
長野式治療 国内外の多くの鍼灸師から高い評価を得ている治療法。 鍼のタイプ:普通に鍼を打つ、十数ヶ所程度
刺激タイプ:普通
主な診断法:脈診と腹診
治療家の数:多い
北辰会 じっくり時間をかけて丁寧に診察する。 鍼のタイプ:1~3ヶ所に鍼を打つ
刺激タイプ:少ない(鍼を打つ数が少ない)
主な診断法:腹診など色々
治療家の数:少なめ
積聚治療 背中とお腹のツボを中心に治療する。関東に多い。 鍼のタイプ:接触鍼+お灸+数ヶ所打つ
刺激タイプ:ソフト系
主な診断法:腹診
治療家の数:やや少なめ
太極療法
(澤田流)
鍼灸師の間では知らない人はいないほど有名。
多くの鍼灸師が参考にしているやり方だが、難しいがゆえにきちんと踏襲している人はかなり少ない。
鍼のタイプ:お灸が多い
刺激タイプ:普通
主な診断法:先生による
治療家の数:かなり少ない
中医学派 中国医学の理論を使って治療する。
いわゆる中国鍼はこれに属する。
日本人の先生の場合は細い鍼を使うことも多い。
医師が学ぶ東洋医学理論はだいたいこれ。
この中にも細かな流派がある。
鍼のタイプ:普通に鍼を打つ、数は人それぞれ
刺激タイプ:少し強め~強め(少し太めの鍼を使う)
主な診断法:先生による
治療家の数:多い
小児鍼 0~12歳位までの子どもが対象の治療法。
夜泣きやかんしゃく、おねしょなど様々な悩みに対応できる。
この中にもいくつか流派がある。
鍼のタイプ:接触鍼
刺激タイプ:かなりソフト
主な診断法:皮膚の触診
治療家の数:多い
頭皮鍼 頭皮に鍼を打ち、脳血流に作用することで治療を行う。
この中にもいくつか流派がある。
しっかりとした治療を行うところもあれば、美容目的の施術を行うところもある。
鍼のタイプ:頭皮を中心に鍼を打つ
刺激タイプ:普通
主な診断法:人それぞれ?
治療家の数:普通
流派ごとでの治療効果の差はあまりありません。というのも、治療効果に差がつくのは、流派の違いよりも、個人の治療技術の違いの方がよっぽど影響するからです。(同じ流派のやり方であっても、個人の治療技術が低ければ高い効果は出せない)

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