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内臓にはたらきかけるメカニズム

皮膚や筋肉に鍼や灸をすると、なぜ内臓の働きや血流が良くなったり、全身の血流が良くなるのでしょうか。これは、体性―自律神経反射という神経の反射が起こっているからです。

体性―自律神経反射とは?

体性―自律神経反射というのは、皮膚や筋肉から入った刺激が、感覚神経を通って脳や脊髄に伝わり、そこからさらに自律神経に伝わってその先にある各臓器や全身の循環に反応を起こさせる、という神経の反射です。
つまり、皮膚からの刺激が伝わることで、自律神経が興奮すると、内臓や循環のはたらきに影響が表れるのです。
 
具体的に説明すると、
①鍼が皮膚や筋肉に入ると、ポリモーダル受容器という感覚神経の終末にあるセンサーが興奮する(これはごくごく小さい、太い神経にあたっているわけじゃないのでご安心を)
②すると感覚神経が興奮して、脊髄や脳に電気信号が伝わる
③脊髄には交感神経のスタート地点が、脳には副交感神経のスタート地点があり、伝わってきた電気信号が交感神経や副交感神経を興奮させる
④交感神経や副交感神経が興奮すると、その先にある内臓に電気信号が伝わる、また血管を収縮・拡張させる
 
(イラスト)
 
・そもそも自律神経について
 ①自律神経は、内臓の活動や血管などの循環器の調整をする、体の活動をコントロールしている神経である
 ②交感神経がはたらくと、内臓の活動が抑制され、内臓への血流も減る
  副交感神経がはたらくと、内臓の活動が亢進し、内臓への血流も増える

どのように交感神経優位にしたり副交感神経優位にしたりするのか?

・この反射を利用して自律神経にはたらきかけるといっても、自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があります。どちらの神経が興奮するかは、刺激する場所や刺激の大きさによって変わってきます。
したがって、鍼灸治療では、刺激をする場所(ツボ)と刺激の大きさを使い分けることによって、出したい効果を引き出しているのです。
 
・交感神経優位になるか、副交感神経優位になるかを決める刺激の場所や強さには、一般的に次のような傾向があります。
交感神経優位になる お腹や背中など体幹部を刺激 強めの刺激
副交感神経優位になる 腕や脚 穏やかな刺激
・たとえば、ストレス続きでイライラして食欲が出ない人に、鍼を打った場合を考えてみます。
(ストレスがたまると交感神経優位になるので、胃腸の活動が低下します。
 
・お腹に鍼を打つと、このようなルートで交感神経が興奮して、胃の消化活動が低下します。
皮膚や筋肉からの刺激→脊髄→交感神経興奮↑↑=胃の活動低下
 
・脚に鍼を打つと、このようなルートで交感神経と副交感神経のどちらも興奮します。ですが副交感神経の興奮のほうが大きいので、副交感神経優位になって、胃の消化活動が亢進します。
皮膚や筋肉からの刺激→脊髄→交感神経興奮↑
               →脳 →副交感神経興奮↑↑ =副交感神経の興奮が勝るので胃の活動亢進
 
この場合は、脚に鍼を打つ方が効果的といえます。
 
・このように、鍼を打つ場所によって、交感神経が興奮したり、副交感神経が興奮したりします。
・ただ、まだどこのツボがどの内臓にどのようなルートで神経反射でつながりがあるか、ということは、現代の科学ではほとんど解明されていません。したがって、はるか昔から伝わっている東洋医学の理論に基づいて治療するツボを選ぶ方が効果も出て話が早いわけです。
 
・また、刺激の大きさはどのように使い分けているかというと、鍼の太さ、鍼を刺入する時間、鍼の動かし方、などです。強めの刺激と言っても、必ずしもガツンとくるとか痛い刺激というわけではないのでご安心ください。(刺激についてはこちらをご覧ください)

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