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不妊治療に鍼灸って本当に効く?どんな効果があるの?なぜ効くの?

不妊治療の選択肢の一つとして、鍼灸治療が知られてきてはいますが、本当に効果があるのか怪しいと思う人も多いはずです。
実際のところ、鍼灸による不妊治療では、卵巣や子宮の機能低下に効果があり、ホルモン投薬や人工授精などのクリニックでの治療効果を高める効果もあります。また、自然妊娠の確率を高めるとも言われています。
ただ、不妊症にはさまざまな原因があります。ここでは、どのタイプの不妊症に鍼灸が効くのか、具体的にどんな効果があるのか、どのように効果をあげるのかについて説明します。
 
目次
  • 鍼灸で対応できる不妊症は主に機能性不妊
  • 機能性不妊の原因
  • 機能性不妊の治療法 治療ステップの流れと各治療法の特徴
  • 鍼灸による不妊治療にはどのような効果があるのか
  • なぜ鍼灸でホルモンバランスに作用できるのか
  • なぜ鍼灸で卵巣や子宮の血流が良くなるのか

鍼灸で対応できる不妊症は主に機能性不妊

鍼灸による不妊治療では、不妊症の原因や程度によって治療可能かどうかが変わってきます。

基本的に、鍼灸治療で対応できるのは、ホルモン分泌の乱れによる卵巣や子宮の機能低下が原因の不妊症です。たとえば、無月経、無排卵、黄体機能不全など、いわゆる機能性不妊や原因不明不妊が当てはまります。
鍼灸は血流や自律神経、ホルモンバランスに作用するので、卵巣や子宮の機能低下の改善が見込めます。
 
反対に、卵管癒着などの器質性不妊では、鍼灸でそれ自体を治すことはできないので、外科的な治療が必要となる場合が多いです。ただ、そのほかの要因(卵巣や子宮の血流、ホルモンバランス、腹水など)に対しては治療可能です。また、手術痕の癒着の悪化を防ぐこともできます。
 
卵巣因子 無月経(○)、稀発月経(○)、黄体機能不全(○)、黄体化未破裂卵胞症候群()、高プロラクチン血症()
卵管因子 卵管内腔の癒着(×)、卵管采の癒着(×)
子宮因子 子宮内膜症(○☆)、頸管粘液の減少(○~△)、腹腔内癒着
その他の因子 染色体異常(無効)、抗精子抗体による不妊症(△)、原因不明不妊症(○/△)、
○… 効果が期待できるもの、またはクリニックでの治療にプラスすることで効果が高まるもの
△… ある程度の効果が期待できるもの、またはクリニックでの治療にプラスすることである程度効果が高まるもの
◇… その原因疾患を直接治療できるものではないが、ベースとなる体の状態を整えることで妊娠しやすい体質への改善がある程度期待できるもの
×… 鍼灸単独では効果が期待できないもの、クリニックでの治療を優先させるべきもの
☆… 軽症なら鍼灸でも体質の改善が期待できるが、程度が重ければホルモン剤や外科的治療が優先されるもの

機能性不妊の原因

機能性不妊の1番の原因はストレスだと言われています。
 
(ストレス→自律神経の乱れ→ホルモン分泌の乱れ
                  →血流の悪化)
 
ストレスが続くとまず自律神経のバランスが乱れ、次第にホルモン分泌のバランスが乱れます。これは自律神経とホルモン分泌機能が密接に関わっているからです。
また、自律神経の乱れは、全身の血流を悪くさせます。卵巣や子宮で血流が悪くなれば、細胞の機能低下も十分起こり得ますし、血液中を流れている性ホルモンのめぐりも悪くなります。
 
機能性不妊の原因は、ストレスの他にも睡眠や食事などの生活習慣が関わっています。そもそも人の体は、妊娠するのにふさわしくない状態だと、防衛本能で妊娠しづらくなっていきます。体全体を良い状態に持っていくことが大切です。

機能性不妊の治療法 よくある治療ステップの流れと各治療法の特徴

機能性不妊の治療では、基本的にまずクリニックでホルモン療法が行われます。
なぜなら、機能性不妊ではホルモン分泌量が少なかったりバランスが悪かったりすることで、卵巣や子宮が上手く機能していないからです。ホルモンを直接体内に入れることで、排卵や受精が上手くできるようにダイレクトに働きかけます。
 
ただ、最初のホルモン療法で思うような成果が出なかった場合、次の治療法をどうするかで悩む方が多いようです。思うような成果が得られなかった場合の治療ステップのパターンとしては、
 
ホルモン投薬
→①人工受精  →体外受精・胚移植
思うような成果が得られない場合にステップアップしていく。一般的な治療パターン。
→②人工受精+漢方や鍼灸 →体外受精+漢方や鍼灸
思うような成果が得られない場合にステップアップするものの、どこかで漢方や鍼灸も取り入れる。人工受精やARTの成功率を上げたい方や、人工受精やARTを何回か試したが思うような効果が得られなかったため漢方や鍼灸を取り入れる方が多い。
→③ホルモン投薬継続+漢方や鍼灸 →人工受精の検討
ステップアップをする前に漢方や鍼灸を取り入れるパターン。自然妊娠を希望する方が多い。
→④漢方や鍼灸
クリニックでの不妊治療を少し休んで、漢方や鍼灸といった別のアプローチを試すパターン。自然妊娠を希望する方が多い。
 
ほとんどの方は①のクリニックでの治療のみのパターンで治療を進めていきます。また、なるべく早く妊娠したい方は、積極的に人工授精や体外受精にステップアップすることが多いようです。
 
反対に、漢方や鍼灸はなかなか選択肢には入らないようです。
どのような方が漢方や鍼灸を取り入れているかというと、何回か人工受精やARTを試しても思うような成果が得られなかった方や、手術に抵抗がある方、自然妊娠を希望する方に多いようです。
最近では漢方や鍼灸による不妊治療も広く知られてきたため、ステップアップする前に漢方や鍼灸で先に体の状態を整えて成功率を上げたい、といった治療の受け方も広まってきています。
 
クリニックでの治療と漢方、鍼灸による治療の特徴まとめ
クリニックでの治療 目的:排卵や受精が上手くできるようにダイレクトに働きかける
治療:ホルモン療法による排卵誘発法、人工受精、ART(体外受精・胚移植など)
漢方による治療 目的:排卵や受精が上手くいくように体内環境を整える
治療:東洋医学的に体の状態を把握して、それに合う漢方薬を服薬。
   よくあるのは加味逍遥散、桂枝茯苓丸、当帰芍薬散など
鍼灸による治療 目的:排卵や受精が上手くいくように体内環境を整える
治療:東洋医学的に体の状態を把握して、それに合うツボに鍼や灸をする。
   手足や腰、お腹のツボを中心に鍼や灸をしていくことが多い。

鍼灸による不妊治療にはどのような効果があるのか

鍼灸では、卵巣や子宮の機能低下やホルモンバランスの乱れに効果をあげることができます。また、ホルモン投薬や人工受精、体外受精などクリニックでの治療の効果を高める効果があります。
 

ホルモンバランス改善による効果

  • 月経・排卵の誘発
  • 月経痛の緩和
  • 卵子が育つのを助ける
  • 排卵を助ける
  • 黄体が維持されるのを助ける
  • 卵子の状態を良くして体外受精の成功率を高める
  • 子宮内膜の状態を良くして着床を助ける
  • 着床を維持する など

自律神経の安定化による効果

  • ホルモンバランスの乱れの改善
  • 片頭痛などの自律神経の乱れによる症状の改善

血流改善による効果

  • エストラジオール、プロゲステロンなどのホルモンの循環が良くなるので、卵巣や子宮のはたらきを助ける(卵巣・子宮の血流改善)
  • 月経痛の緩和(お腹の血流改善)
  • 冷え性、むくみ、頭痛、肩こり、腰痛などの改善(全身血流の改善)
鍼灸でホルモンバランスの乱れを改善できるとは言っても、クリニックでの治療のように直接ホルモンを体内に入れるわけではないので作用は穏やかです。そのため、ホルモン分泌量が少なすぎるなどの場合はホルモン投薬をする方が早い、もしくは投薬せざるを得ない場合もあります。

なぜ鍼灸で卵巣や子宮の血流が良くなるのか

鍼や灸の刺激は、内臓につながっている自律神経の反射を引き起こすので、血流が良くなります。
この反射は「体性―内臓反射」と呼ばれていて、鍼灸治療はこれを利用して色々な症状に治療しています。
 
内臓の反射が起こる流れ

鍼や灸で刺激を加えると、感覚神経のうちのC繊維という種類の神経線維が興奮します。すると、その興奮が脊髄に伝わり、脊髄で自律神経に興奮が伝わります。
 
感覚神経(C繊維)→脊髄→自律神経→その支配下にある臓器
 
自律神経には、臓器に命令を伝える作用と、臓器の血流を調節する作用があります。
そのため自律神経が興奮すると、その臓器に「働きなさいよ」という命令が伝わり、その仕事をするために必要となる血液が送り込まれます。その結果、臓器の血流が良くなるというわけです。
 
卵巣や子宮の血流を良くするには?

卵巣や子宮の血流を良くするためには、主に腰の下部に刺激を加えるか、手足に刺激を加えることになります。
腰の下部には、卵巣や子宮を支配している自律神経が通っています。卵巣や子宮につながっている自律神経の周辺を刺激することで、感覚神経→脊髄→自律神経へと神経の興奮が伝わって反射が起こります。
また、手足には卵巣や子宮を支配している自律神経は通っていませんが、手足の感覚神経→脊髄→脳→自律神経と興奮が伝わって反射が起こります。
 
(感覚神経と自律神経が同じ脊髄レベルにある皮膚の感覚領域を刺激→脊髄で自律神経に興奮が伝わる)
(手足への刺激の場合は、感覚神経→脊髄→脳→自律神経へと興奮が伝わる)
 
手足に施術する場合は、どこを刺激しても反射が起こる訳ではありません。手足のどのポイントを刺激したらどこの内臓が反射を起こすか、といった具体的なことはまだ科学的に解明されていません。そのため、東洋医学の理論に基づいてツボを選んだ方が話が早いわけです。

なぜ鍼灸でホルモンバランスに作用できるのか?

鍼や灸の刺激で、直接ホルモンを分泌させることができるというわけでなく、自律神経のバランスを安定させることによって、間接的にホルモンバランスに作用することができます。
 
自律神経とホルモンは密接に関わっている

自律神経とホルモンには密接な関連があります。自律神経のバランスが乱れると、ホルモン分泌のバランスも乱れます。これは自律神経の中枢とホルモン分泌の中枢が同じところにあるためだと言われています。
 
現代では、何かしらの症状がある人のほとんどは、ストレスや生活習慣によって自律神経のバランスが多かれ少なかれ乱れています。交感神経と副交感神経がバランスよく働くように調整していくと、ホルモン分泌の乱れも改善してきます。
 
ただこれは、1回の治療で効果を出せるわけではありません。週に1,2回のペースで少なくとも1~3ヶ月、こまめに体の調整をしていくことで得られる効果です。(症状が浅かったり軽ければ短期間で、長期慢性化していたり症状が重ければ治療期間は長くなる傾向があります。)
 

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