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副作用はあるの?ないの? ―治療後に体調が悪くなる4つのケース―

鍼灸治療は、普通の薬に比べて、体への作用が穏やかなので、副作用が起こる確率は少ないといわれています。
ただ、もちろん鍼灸治療でも、治療後に体調不良が起こるケースもあり、その原因には4つのパターンがあります。
 
毒の排出のために起こる体調不良 ←好転反応
刺激量オーバーによる体調不良(ドーゼオーバー、暈鍼うんしん) ←副作用
治療後に患者さんが不適切な行動をしたために起こる体調不良 ←副作用
合っていない治療方針によって起こる体調不良            ←副作用

①毒の排出のために起こる体調不良(瞑眩、好転反応)

これは、治療後におこる体調不良で、それが収まると、最初に訴えていた症状が改善・寛解するものです。「好転反応」や「瞑眩(めんけん)」といわれます。
患者さんにとってはつらいかもしれないですが、治療において有効な反応です。
 
好転反応では、体内に溜まっていた毒が排出される傾向が強いです。そのため症状としては、汗が良く出る、尿や便が良く出る、痰が出る、アトピーの悪化、発疹、嘔吐、下痢、帯下(おりもの)、発熱、鼻血などの反応が表れることが多いようです。(汗や尿くらいなら、そもそも気づきにくいので、好転反応だと自覚されづらいですが)
 
好転反応の症状としては、上記のような排出系の症状のほかに、最初に訴えていた症状が悪化したり、めまいや発熱、だるさが続いたりなど、さまざま見られます。
早ければすぐ治まりますし、数日続くこともあります。病の種類や程度によっても変わってきますが、病が重いと症状も好転反応の期間も長くなる場合が多いようです。
また、長年にわたって薬を服用していたり、湿布を張り続けていたりすると、好転反応も重たくなる傾向があり、好転反応が治まるのに数年かかるケースもあります。
 
好転反応は、比較的強い刺激で治療する場合に見られることが多く、ソフトな刺激で治療する場合には、好転反応は起きにくいようです。(強い刺激のほうが好転反応が起きやすく、その期間は苦しいかもしれないけれど、その後スッキリと寛解するケースが多いです。)
したがって、次に挙げる刺激量オーバーの場合ととても似ていますが、体調不良のあとに、元々あった症状が改善するかどうかの違いがあります。
ただし、治療後の体調不良が刺激量オーバーによるものか、好転反応によるものかは、一般の方が判断するにはその後の結果をみるしかありません。
 
もし治療後に好転反応があらわれて(自己判断はできないですが)、症状がつらくなってきたら先生に伝えましょう。

②刺激量オーバーによる体調不良

これは、ドーゼオーバーや暈鍼(うんしん)と言われます。この場合は、初回(そこの治療院で初めて治療を受けるとき)に起こることが多いです。
体が敏感な人や、治療に使う鍼の本数が多い治療院で起こりやすい傾向があります。
 
人の体は、1日あたりに受けられる刺激の量に限度があります。この刺激量のキャパを超えて刺激を受けると、体がしんどくなったり、熱が出たりと体調が悪くなります。
(たとえば、海水浴にいったら、普段より過剰に紫外線を浴びるので、体が物理的に刺激を受けすぎて、帰ってからだるくなったり熱が出たりします。)
 
この1日あたりに受けられる刺激量のキャパシティというのは、人によってかなり違いがあります。そのため、鍼灸師はその人の体格や体質、治療中の体の反応を伺いながら刺激の量を調節しています。(刺激量について詳しくはこちら)
 
しかし、治療効果を上げるためにこのくらいまでの刺激量なら大丈夫だろうと思っていても、受け手の体がしんどくなることもあります。
逆に、患者さんの刺激への感受性が、一般的な水準よりもかなり敏感な場合にも、刺激量がオーバーしてしまうこともあります。
また、睡眠不足や空腹時、体力が消耗しているときに治療を受けると、通常よりも刺激に敏感になり体力を消耗しやすくなります。治療に対して極度の緊張や不安がある場合にも、刺激量オーバーは起こりやすいです。
 
 
(図解)
 
刺激量オーバーによっておこる症状としては、吐き気、胸苦しさ、めまい、手足の冷感、顔面蒼白、じわっと汗が出るなどさまざまあります。これは1時間程度や1日程度でおさまる場合が多いですが、ひどいと2~3日かかる場合もあります。
こうなってしまうと不安でしょうから、遠慮せず鍼灸師の方に伝えるのが良いでしょう。ほとんどの場合、適切な処置を施すことで、刺激オーバーによって起きている症状を治せるからです。
 
鍼灸師は、常に細心の注意を払って治療していきますが、初めて治療する患者さんのときは、どのくらいの刺激なら大丈夫かの判断が難しいようです。そのため、刺激量オーバーによる体調不良は初回に起こりやすいのです。

治療後に患者さんが不適切な行動をしたために起こる体調不良

治療後にどんな行動をとるかによっても、その後体調が悪くなることがあります。
これは、治療効果に反するような行動をとった時に現れやすいです。
 
たとえば、
・食べ過ぎによって起こっている病なのに、治療のあとスッキリしたので思わず食べ過ぎてしまった→体がだるくなる、しんどくなる、痛みが出る、下痢や吐き気、嘔吐など色々
・体に冷えがあって起こっている病なのに、治療後に熱いお風呂に使って汗をかいてしまった(汗をかくと体が冷える)→寒気がする、四肢が冷える、痛みが出る、体がだるくなる、しんどくなるなど色々
・体が消耗していろいろな症状が起こっているのに、治療後に元気が出ていつもより動いてしまった→体がだるくなる、しんどくなる、痛みが出る、発熱、寒気、四肢が冷えるなど色々
など、さまざまなケースがあります。
 
こういった場合は、症状が悪化したり、体がしんどくなったり発熱したりと、その人の病によっていろいろな体調不良があらわれます。
 
治療後はなるべく変化をおこさず、おとなしく過ごすのがベストです。
また、鍼灸師の説明不足でこういったケースが起こることもあります。もし不安があれば、治療後にどういう過ごし方をするのが良いか効くのが良いでしょう。

合っていない治療方針によって起こる体調不良

これは、病が重く複雑化している場合に見られやすいケースで、起こりうる数としては4つの中で1番少ないです。
 
高齢者など病気がかなり進行していたり、手術や薬の服用によって病が複雑化していたりすると、矛盾するような体の所見が出たりして、正確に体の状態を判断するのが難しくなります。
こういった場合には、1番ベストな治療法を選択するのに、経験と知識がかなり必要になってきます。
 
症状はその人の病態によって異なるため一概には言えませんが、症状の悪化をはじめ、不快感を伴ういろいろな症状があらわれることが考えられます。
 
ただし、この合わない治療方針によって体調不良が起こるというのは、(ちゃんとしている)鍼灸治療ではかなり数は少ないです。というのも、治療中に脈やお腹の状態を確認しながら治療を進めていけば、これは防げる問題だからです。
 
もし、その人に合わない治療法によって体調不良が起こったとしたら(自己判断できるものではないですが)、もう一度その治療院に行くか、体調不良になった旨を伝えるのが良いです。
1回目で行った治療法が合わなかったと分かれば、次の手立てを考えて別の治療が出来るからです。(病院に行っても良く分からない病気がお医者さんでも難しいのと同様です。Dr.HOUSEという海外ドラマでも、原因がわからない病気に対して次々治療を試して原因を絞り込んでいます)
 
(図解)
 
治療のあとに1度体調が悪くなってしまったら、もうそこに行く気にはならないかとは思います。
ただ、もう1度行くか、電話で体調不良になった旨を伝えてください。真摯に患者さんと向き合う鍼灸師であれば、きちんともう一度分析して、別の手立てを考えます。
逆に、その段階で、「真摯に対応してくれてないな」と感じたら、別の治療院を探すのが良いでしょう。

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