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神経損傷のリスクはないの?

鍼によって神経損傷のリスクがないのか、不安に思う方もいらっしゃると思います。治療院のホームページなどではリスクはないというけれど、過去に事例もあるわけですから、心配になるのも当然です。
 
結論から言えば、無知で粗暴な鍼の打ち方をすると、神経を損傷するリスクはあります。
しかし、きちんと解剖学の知識を持って治療に臨んでいれば、普通はそんなリスクのある打ち方はまずしません。
 
とはいってもなかなか不安は払拭できないでしょうから、具体的に、体のどの部位でどういう打ち方をするとリスクがあるのか、どのようにしてリスクを避けているのかを説明していきます。
 
まず、神経の位置を考慮して鍼を打つ必要がある部位は、基本的に3つあります。
①手足など末梢で、直下に太い神経が通っているツボ
②後頭部~後頚部
③背骨付近
ではそれぞれ見ていきましょう。
手足などで直下に太い神経があるツボの場合
直下に太い神経が通っているツボは、それを避けるように、鍼の深さや打つ方向に注意して打っています。
たとえば、腕の内関というツボの直下には正中神経という太い神経が通っているので、基本は浅く刺します。
脚の足三里というツボは、深層に深腓骨神経という神経が通っているので、その神経の方向に向かないような角度で鍼を打ちます。
 
(図、内関と足三里)
 
もし万一、太い神経に鍼が当たったとしても、そこから鍼をすこし戻せば大丈夫です。日本で使われている鍼はとても細く、神経に当たっただけでは神経組織は損傷しません。また、太い神経は弾性に富んでいるのでそもそも鍼が刺さりにくいです。
逆に、もし鍼先が神経に当たって、そこでさらに雀啄や捻鍼などの手技を強引にすると(この時点で受け手はかなりの衝撃と痛みがあるはず)、神経組織を傷つけるリスクがあります。普通はこんな粗暴なことはしませんが。
万一、末梢神経が損傷しても、時間経過とともに神経線維は再生します。もし治療後に不安になったら整形外科で神経再生を促進する薬を出してもらうのが良いです。また、末梢神経が損傷したとしても、半身不随などの脊髄損傷のような障害になることはありません。
後頭部や後頚部の場合
後頭部や後頚部に鍼を打つときは、中心に延髄や脊髄があるので、鍼を打つ深さと方向、角度に注意して鍼を打ちます。
たとえば、このエリアでまっすぐの角度で2~3cmとか刺したらもちろんリスクは高いです。中心部には延髄や脊髄があるので、それを避けるように向きを調整します。また、深すぎる鍼も当然危険になるので、必要以上に深く刺すことはありません。
 
(図)
 
脊髄は背骨と靭帯に覆われているので、かなり強引で粗暴な手技をしない限りは脊髄に鍼が届くことはありません。
もし脊髄の近くまで鍼先が進んだとしても、そこで捻鍼や雀啄などの強い手技をしなければ大丈夫です。万一、脊髄を損傷したとしたら、すぐにめまいや頭痛、嘔吐などの激しい症状が出てきます。
また、延髄に鍼が達するとしたら、頭蓋骨と背骨の間の穴をくぐり抜けて鍼を深く入れ込んでいく必要があります。このような危険なことは普通はしません。
背骨付近の場合
背中の背骨付近に鍼を打つときは、中心に脊髄があるので、鍼を打つ深さと方向、角度に注意して鍼を打ちます。
基本的には、まっすぐの角度で浅く打つか、鍼を傾けて脊髄の深さまで届かないように鍼を打っていきます。治療上どうしても深めに打つ必要がある場合は、背骨に当てるようにして鍼を打ちます。(脊髄は背骨と靭帯に覆われるように守られているため)
頭の場合
頭に打たれるときは、脳があるので不安に思われる方も多いのではないでしょうか。
頭に鍼を打つ場合は、頭蓋骨が脳を守っているので、その頭蓋骨に当たっても大丈夫です。むしろ頭蓋骨に当てに行くような方向で鍼を打っていかないとリスクがあります。
また、頭皮から頭蓋骨までは数mm程度しかないので、深く刺そうと思ったとしても数ミリしか刺さりません。
 
(図)
 
 
少しは神経損傷への不安は払拭されたでしょうか?
少し怖い話をしてしまいましたが、鍼と神経との物理的な位置関係が分かれば妙な心配をせずにいられます。
それでもまだ不安が残るようであれば、はじめは深く刺さない治療方針の鍼灸師のところで治療を受けてみるのが良いでしょう。

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